「建築の詩人 カルロ・スカルパ」

建築の詩人 カルロ・スカルパ

建築の詩人 カルロ・スカルパ



ゆっくり見たかった大型本が図書館にあって、即予約を入れていました。
書店でも立ち読みしたことがあるのですが、
とても大きな本なので、ぱらぱらとめくる程度しかできず、
価格も1万円するので購入を躊躇していました。


カルロ・スカルパベネチア出身の建築家。
この写真集の約3分の2のページで、
彼の数少ない新築作品のひとつである「ブリオン家の墓地」の
写真、図面、評論、インタビューを載せています。
残りは美術館やショールームの改修工事の写真など。


雑誌の記事で、スカルパの芸術的な仕事に大変興味を持っていましたが、
改めてゆっくり写真集で詳細をみていると、感嘆ばかりがこぼれてしまいます。
「ブリオン家の墓地」は約2200平方メートルの敷地ですが、
その完成のために10年の年月をかけ、1200枚もの図面を残しているそうで、
どれだけこだわりを持っていたのかが数字の面からだけでも推し量られます。
実際スカルパが訪れた桂離宮との共通性も論ぜられているように、
彼の建築はオリエンタルな要素も多分に含まれているので、
日本人にも好まれる作品が多いように思います。


ちなみにこの本のデザインは田中一光さんが手掛けられています。
この繊細な建築家の作品を綴るのに、ふさわしい方だと思います。