『西沢大良1994-2004』

西沢大良 1994‐2004

西沢大良 1994‐2004

来月の建築セミナーに西沢大良氏の講演もあるということで、
今迄の作品を調べておく。
(ほんとは実際の建築物を見ておくべきなんだけど。)
住宅設計がほとんどで、そのコメントで特徴的だと思ったのは、
視覚に訴える観点に関して、繰り返し言及されていること。
具体的には光の採り込み方、ガラスの映り込み、壁と家具の色の調和、
窓から見えるもの…といったこと。
以上のことは設計者ならば当然考慮にいれていることだけど、
大良氏の場合はさらに徹底されている感じを受けた。
それは巻末の「立体とアクティビティ」というエッセイでも語られている。
こういったこだわりは私は好きだ。


住宅以外に《富弘美術館》のコンペ案が美しいと思った。
湖に面した高台に森を作り、その外周に歩道を巡らせ、
湖畔の崖にせり出す形で一層の美術館を浮かべるというもの。
実現したものも見てみたかった。
実際に建てられたのはヨコミゾマコトさんの案だったはず。
大良氏の案で6等だったというのだから、相当力作揃いのコンペだったのだろう。
それに《松之山自然科学博物館》のコンペ案も面白かった。
素材と形状を工夫すれば、雪国でも半透明のトップライトが可能だと提示されていた。


ついでにCasaBRUTUSの2月号も読んでおく。

CasaBRUTUS(カ-サブル-タス) 2016年 2月号

CasaBRUTUS(カ-サブル-タス) 2016年 2月号

この号の発売時期、忙しくてなかなか読めなかった。
住宅特集に大良氏と立衛氏、西沢兄弟の対談が載っている。
建築に関係ないけれど、学生時代の二人のエピソードが面白かった。
大良氏が立衛氏にツェッペリンのレコードを買わせたり、
暑い真夏日に突然建築を観に行こうと、立衛氏を連れ出したり。
最近の作品も載っていて、
大良氏の《川崎のハウス》はガラスの映り込みがきれい。
立衛氏の《森山邸》はよく紹介されているのでここでは書かない。
でもボリュームの違う10個の建物が同じ敷地に設定されているのが面白いので、
未見の人は新建築かなにかで参照するといいと思う。


そういえば初めて立衛氏の文章を読んだのが「テーブル理論」というエッセイで、
前出の大良氏のエッセイ「立体とアクティビティ」を読んだときに
そのときと同じ感触がしたような気がした。
改めて二つを読み比べてみるとやっぱり違っているのだけれど、
具体例を挙げて読者に語りかけてくる感じはよく似ているように思う。
テーブル理論」はシンプルな発想なのに印象深かったエッセイ。
そして大良氏の「立体とアクティビティ」の取り組みには期待。
モノの種類があまりに多い現代に(特に見た目の美しさという観点で)
そのモノのバリエーションに応えうる建築を実現すること。
来月のセミナーでもその辺りが聴けそうで楽しみ。

妹島和世+西沢立衛/SANAA―WORKS1995‐2003

妹島和世+西沢立衛/SANAA―WORKS1995‐2003