『建築の20世紀 4人の建築家が問う1990年代』


図書館で見付けた、新建築の臨時増刊号。
"1990年代"を振り返るものなので(2001年刊行)新しい内容とはいえないのですが、
フランス国立図書館のコンペ案についてから始まる、
伊東豊雄山本理顕青木淳西沢立衛ら4氏の対談は読みごたえありました。
対談の雰囲気としては、伊東、山本の両氏の論に青木氏が果敢に立ち向かっていく感じを受けました。


引用されていて気になったアーティストは、
ランドスケープデザイナーのイヴ・ブリュニエ(Yves Brunier)('62~91)。
J・ヌーヴェルやレム・コールハースランドスケープデザインを手掛けている。
自身も建築家を目指すべきか葛藤していたが、
エイズに冒されていたため、志半ばで亡くなってしまったそう。
その苛立ちやあせりのせいなのか、彼のデザインは暴力的な感じがした。
でも目を背けたくなるようなものじゃない。


気になった建築

レム・コールハース設計。よく引用されているのを目にしていたけれど、
どんなものかよく知らなかった。
依頼主が半身不随の事故に遭い、改めて設計しなおされた邸宅。
上下3層の部屋の中心に3m×3.5mのエレベーターが置かれているのが大きな特徴。
そのエレベーターに居れば、その場で3つの空間を移動することができる。
まるでSF映画のような装置でひとこと「かっこいい」と唸ってしまう。
通常バリアフリー対策の家なら、平屋もしくはスロープを多用したものになると思うけど、
こんな大胆な設計ができるのはさすが。
壁にかかる巨大な絵画で迫力が増している。

  • ピーター・マークリー《彫刻の家》('92)

”シチュエーションが面白い建築物。
カフェで鍵を借りてから自分で中に入る”(西沢談)

  • エンリック・ミラーレス《イグアラダの墓地》('96)

伊東氏が絶賛。
”人間が土に還っていくというのはこういうことじゃないかと思わせるような、
自然の風景にさらされている怖さを体験させる建築”