ダニエル・リベスキンド『ブレイキング・グラウンド』

ブレイキング・グラウンド―人生と建築の冒険

ブレイキング・グラウンド―人生と建築の冒険

WTCの設計案をめぐって諍いがあるらしいことはニュースで聞いていたけれど、
案としては安藤忠雄さんのものがベストだと思っていたので興味が持てないでいた。
でもこの本でリベスキンド側からの見方に過ぎなくても、真相を垣間見ることができて良かった。
他にも《ベルリン・ユダヤ博物館》の経緯だとか。

日本でも戦後の丹下健三や吉阪隆正らの志には頭が下がる思いがするのだけど、
リベスキンドの熱情はまた次元が違っていて圧倒されてしまう。
ご両親のユダヤ迫害、家族の移民生活の経験談は壮絶だった。
“圧力に耐えることが、人間でも建築でも、混じりけのない誠実な本質を作り出す”という一節に胸が打たれる。