2つのパリ

パリを舞台にしたDVDを2本観ました。

まず初めにジャック・リヴェットから。81年の作品だから相当古いです。
私も10年ぶりに改めて再鑑賞。
リヴェット独特の不思議な感じがラストまで響いていて、
こんな感じって他の人はどう思うのかきいてみたいところです。
当時パリ郊外では再開発があちこちで進んでいたらしく、
タワークレーンを伴った工事現場がしばしば舞台になっていました。
堀江敏幸さんの作品に引用されているのを見付けて嬉しかったです。
http://d.hatena.ne.jp/whirligig/20070727/1186319139


こちらは去年の公開作品。さまざまな国籍の18人の監督によるオムニバス映画。
2時間で18話だから、どうしても細切れのストーリーになってしまうのだけど、
そんな条件下でも出来のいい作品はちゃんと光ってる。
企画の発端となったトム・ティクヴァの「フォブール・サン・ドニ」や、
コーエン兄弟の「チュイルリー」の話の展開は面白かった。短くてもすごい。
でも私が一番ぐっときたのは「バスティーユ」で、監督はイサベル・コイシェ
あらすじはこちら→http://www.pjt-movie.jp/story/12e.html
分かりやすいありきたりなストーリー(失礼!)なんだけど、
私自身の気ままさを浮き彫りにされている感じがして、目が離せなかった。
人を想う気持ちって、ほんとにこの夫の心境と同じだなあと思う。
そういえば村上春樹さんの『スプートニクの恋人』が登場していて、
女性が自然に歳を経ることを気持ち良く描いていた箇所が頭にひろがった。
この短編に用いられるのにふさわしい。



トム・ティクヴァの作品は、去年映画館で『パヒューム』を観たのが最初。(遅い)
でも私は『パヒューム』のスペクタルな感じが苦手で、
あとでみた『マリアの受難』の方が舞台設定などの点で好きな作品。
どちらも時折挿入されるディテールがなまなましい映像が印象的だ。
ラン・ローラ・ラン』もトム・ティクヴァだったんだ。また観ておかなくちゃ。
この作品は「フォブール・サン・ドニ」に近いんじゃないかと想像してる。

マリアの受難 [DVD]

マリアの受難 [DVD]

ラン・ローラ・ラン [DVD]

ラン・ローラ・ラン [DVD]