読了2冊

芸術の神様が降りてくる瞬間

芸術の神様が降りてくる瞬間

BS日テレで放映された「ニューロンの回廊」という対談番組を収録した本。
私は番組自体知らなかったけれど。


読み通してみて、私には立川志の輔さんの章が盛り上がりどころだった。
高座で場を作り上げ、最後にオチの台詞の手前で観客席で携帯電話が鳴り出す場面の話だとか、
新作落語の創作に頓挫している最中に立ち寄った蕎麦屋で起死回生できた話だとか。
やっぱり噺家さんのせいか、活字にされた対談のなかにも空間のふくらみとユーモアがあった。
唯一金森穣さんについてはなんの予備知識もなかったのだけど、
この方が率いるNoismっていうダンスカンパニーの公演を一度観ておきたいと思う。
町田康さんが言葉に対する潔癖さのために、たびたび聞き返したり突っかかっていたりするのも好きなところ。
その破調気味の展開が影響したのかなあ。茂木さんも普段の感じではなかったような気がする。
ある座談会で爆発したときのこととか、突然石を売りつけられたこととか面白い話が出てきてた。
でも哲学の道でそんな石を売るおじさんに出会ったことないし、しかもそれを買っちゃったりしないと思うけど。
ダイナミックレンジのたとえで挙げられたおはなし。


すべての対談に通じるのは、唸らせる人は「越境」してるということ。


[追記]
哲学の道で石を売るおじさんについての記事を見付けた。
http://walking.exblog.jp/142458


ネット君臨

ネット君臨

毎日新聞で連載されていた記事だそう。
私は毎日を購読していないので知らなかった。


さまざまな問題にそれぞれの言い分が取材されていて、
ネット社会がどう在るべきなのかは判断を下しにくい。
でもネットがない世界で育った私も、それなりに学校や家庭での立ちまわり方には気遣っていたわけで、
もちろん現在の方がより複雑であるのだろうけど、それでもその中で生き抜くしかないのだと思う。
ただ波風立たぬよう、縮こまっていることだけがいいとも思えないけれど。
それに幼児ポルノの問題は、いろんな立場をどう考慮しても現状のままではおかしいだろう。