「非現実の王国で/ヘンリー・ダーガーの謎」(シネカノン神戸)

http://www.henry-darger.com/
去年の春、原美術館で印象的だったヘンリー・ダーガー展。
http://d.hatena.ne.jp/whirligig/20070415/1176619561
そのヘンリー・ダーガーのドキュメンタリーを観に行ってきました。観客は5人きり。
数少ない資料をもとに、無理な脚色を加えていないところに好感がもてた。
そしてなぜあの膨大な作品を誰にみせるともなく、こつこつとつくり上げていた心境はやはり分からないまま。
そこが彼に惹かれる大きな要素なんだと思う。
亡くなる前、ヘンリーは作品でいっぱいの貸部屋を出て養護院で暮らすことになる。
そのときに残された作品を目にした隣人が、見舞いの際にその作品を褒めるエピソードが語られた。
そこでヘンリーは白目を剥いて、「もう遅いよ」という意の言葉を返したとか。
うーん、その返事はいったいなんだったんだろう。なにが遅かったのか。
でもなんとなく白目を剥く仕草なんていうのは、彼の照れ隠しだったのかもしれないなと想像する。
切ない気持ちに浸された。