「愛の旅人 シャガール展」(サントリーミュージアム天保山)

http://www.suntory.co.jp/culture/smt/gallery/index.html

ここの美術館ではめずらしく音声ガイドを貸し出していたのでお願いする。
内容はまあまあ。図録の方が全作品まんべんなく解説があっていいかもしれない。
今回のシャガール展は全て国内のコレクションで構成されている。
ニースにあるシャガールの美術館に行ったときのインパクトが強くて
もの足りないような気もしたけれど、やっぱり本物はいいなあと再認識。
特にシャガールの油彩はマチエールを凝らしているものが多いので、
図録では決してわからない感触がある。
今回の展覧会のポスターに使われている『エッフェル塔と新婚の二人』は圧巻。
構成、モチーフ、色使い、筆使い…。
どの要素の観点でみてもうっとりしてしまう素晴らしさだと思う。
他には『インスピレーション』という作品や、
『ダフニスとクロエ』の挿絵の連作(版画)も良かった。
会期は6月25日(日)まで。
そういえば今回の展覧会は5つのテーマで構成されているのだけれど、
それが入り口すぐのところに明記されていてそれも良い点だった。
一応そのテーマを書いておく。

  • 生と死
  • 聖なる世界
  • サーカス
  • 愛の歓び
  • 自画像


サントリーミュージアムのあとは隣の海遊館ホールへ。
この展覧会のための宮下規久朗氏(神戸大学助教授)の講演会があった。
この宮下先生という方は初めてだったのだけれど、
こういった先生にしては若々しくて forcefulな印象を受けた。
テンポ良くシャガールとその周辺の解説をしてくださって、
大変楽しく勉強させてもらった。90分があっという間だった。
帰宅してから宮下先生のブログ
(http://kikuro.blog.bai.ne.jp/?pid=1422)を検索してみると、
専門はイタリアのルネサンスからバロックのあたりのようで驚き。
ここの分野のトークもいつか聴いてみたい。


これからの展覧会の紹介も上手に話の中に挟まれてたなあ。
共産党に反抗してロシアを追われたシャガールに対し、
戦争画を描いた藤田嗣治との戦後の評価の違い
(どちらも晩年をフランスで過ごした)の話の際に、
今月末から行われる京都国立近代美術館藤田嗣治展の紹介を。
それに今夏の開館が待たれる青森県立美術館には
シャガールが手掛けたバレエ「アレコ」の背景画3点が収蔵されていることも話されていた。
(1点が9m×15mの巨大な作品!)
開館記念展ではコレクションの3点に加え、
アメリカから1点を借りて計4点の展示も行われるそう。
シャガール『アレコ』とアメリカ亡命時代 2006年7月13日(木) - 9月24日(日)
http://www.aomori-museum.jp/ja/exhibition/1/